scent of memory

僕は先生でもないし、最初から「正しさ」もない

第五章 Barのロボット

 前期の講義で薬剤師は患者とのコミュニケーションの時に

『大丈夫ですか』

と言わない方が望ましいことを学んだ。

日常の中でも心配になるような状況になれば、「大丈夫ですか」と声をかけることはよくある。

そしてそれは「私はあなたを心配しています」というメッセージを伝えることになる。

しかし、「大丈夫ですか」の答えは決まって「大丈夫です」となる。

信頼している人の前では「ちょっと大丈夫じゃない」など言うこともあるが、大抵の場合は「大丈夫です」と答える。

そしてその「大丈夫です」には

『本当は大丈夫じゃないんだけど、これ以上心配をかけるわけにはいかない』

という気持ちが入っている。

 

 「大丈夫ですか」と言われると『大丈夫じゃない』のに「大丈夫です」と言ってしまうのは、どこか日本人が “How are you?” の答えは必ず “I’m fine.” となってしまうことと同じように感じる。

このようなことがあるので、患者に「大丈夫ですか」と聞くのは望ましくないというわけだ。

では、何と聞いたら良いのだろうか。

ぜひ一度考えてみて欲しい。(続く)