scent of memory

僕は先生でもないし、最初から「正しさ」もない

第八章 Illusion

今年は特に論文を読む機会が多くあり、知らない専門用語について理解しようとするためにインターネットで調べることが多かった。
しかし、そこには無限に情報が転がっていて、理解するには自分の能力を遥かに超えるものも少なくはない。

有名なサイトといえばやはりWikipediaではないだろうか。
Wikipediaの化学系のページでは、脚注や出典に論文や学術雑誌などのリンクページが貼ってあることが多く見られる。

知りたい単語について概要欄を読んだだけでは理解したことにはならず、出典先や脚注についても理解して初めてその単語を理解したと言えるようになる。
しかしそれはとても難しく、理解するために使われている単語や名称についても同様に理解しなければならなくなり、無限にそのようなことが続いてしまう。

インターネットで調べるというのはたくさんの情報の中から自分にとって最適な情報を選んで、さらにその中から正しいものを吟味しなければならない。
一方で、本(専門書)は知りたいものが簡潔にまとまっていて、わかりやすく記載してある。

理解するまでにかかる労力としては言うまでもない。
学術書にも載っていない場合はさらに大変であるが——。)

インターネットで調べ物をするということは、一見簡単で楽なように見えてしまいがちだが、無限に情報がある中から最適なものを見つけ出さなければならないという、究極に大変なことをしているのである。

このことを忘れてはならないと感じる。
出典先不明で根拠のないデマや誤った情報が転がっているからである。

非常に便利な時代になったと言えるが、それに伴って非常に不便な時代になったとも言えよう。

 

 

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