scent of memory

僕は先生でもないし、最初から「正しさ」もない

第十一章 運動神経と頭の良さ

「運動神経が良いと頭が良い」

こんなことを聞いたことはあるだろうか。

 

そして、これは実際のところ本当なのだろうか。

さらに、運動神経とはそもそも何なのか。

 

 

まず、これらに共通していることは、脳である。

脳の中で起こっていることを考える必要があるようだ。

 

 

一節 運動神経

運動をするために働く神経はどのようなものがあるか。

脳の前頭葉と呼ばれるおでこ辺りのところに、運動野と呼ばれる領域がある。

運動野から線条体淡蒼球網様体、脊髄と神経ネットワークが投射されており、脊髄から筋肉へ神経を介して信号が送られることによって運動が成立している(S.Shota2021)。

難しいことを言っているが、主に「ドーパミン」(専門用語ではドパミン)という神経伝達物質が関与している。

運動するということは、このドーパミンが活性化している状態だ。

つまり、運動神経が良いということは、ドーパミン神経が脳内で活発になっているということである。

 

二節 意欲と記憶

意欲や好奇心は勉強するときに非常に重要な要素であると言えよう。

この意欲や好奇心を司るのは、大脳辺縁系側坐核と呼ばれる領域だ。

また、記憶に関与するのはよくご存知の海馬である。

海馬も大脳辺縁系にある。

このほかにもさまざまな神経ネットワークが関与しているが、これらも主に「ドーパミン」が関わっている。

このように、勉強で必要な意欲や好奇心、記憶などはドーパミン神経が活発になっているとよく働いているのだ。

つまり、頭が良いと言われている人は、ドーパミン神経が活性化しやすいということが言えよう。

 

三節 運動神経と頭の良さの関係

一節では、運動神経が良い人はドーパミン神経が活性化されていることを説明した。

さらに、二節では、頭が良い人はドーパミン神経が活性化されていることを説明した。

 

つまり、運動神経が良い人は、ドーパミン神経が活性化されているため、頭が良いということが言える。

逆でも考えられる。

頭がいい人は、ドーパミン神経が活発なので、運動神経が良いというふうに。

 

情動は脳の指令によって制御されており、個人差が大きい領域でもある。

 

勉強をする合間に運動もすると、より効果的な勉強になるかもしれない。

第十章 Holy Forest

カゴの中の鳥は「自由」を歌う

人類の「自由」の歌が聴こえないように

命が奪われていくのは慣れちゃったけど

 

保健所に囚われた獣の祈りを

毒ガスが優しく包み込む

それはまるで1940年から1945年に起きた

世界が恐れたアノ出来事のように

 

 

 


カゴの中の蝶は「自由」を願う

人類の「自由」の願いが届かないように

命が奪われていくのは慣れちゃったけど

 

命に値段のついたペットショップの孤独な猫を

人間が優しく抱きあげる

それはまるで命を売り買いする

みんなが嫌いな、、、何だっけ?

眠くて”言葉”が思い出せないや

 


みんなそれぞれ考え方は違うと思うけど

僕は地球と共存していきたいんだ

命に最初から価値なんてないけれど

だからこそ大切にしたいと思うんだ

 

いつの日からか僕は犬が鎖につながれていないと

不思議に思うようになっていた

「どうして君は自由なの?」と

 

 



Inside the birdcage freedom is sung
So loud that our freedom song can't be heard
All the lives lost make no difference to us

The prayers of beasts locked inside the camp
Are softly surrounded by the poison gas
It's just like what the world feared of all those years ago
The stories from 1940 to 1945

End of the world

Inside the bug cage the butterfly prays of freedom
And our freedom prayers can't be heard
All the lives lost make no difference to us

In a pet shop where life has a price tag
We pick up and hold the lonely cat to our chests
It's like buying and selling a life for profit
Oh, what's it called again?
I'm too tired to remember the word

End of the world

Everybody has a different view of this world
I just want to live in harmony
There is no life that comes with a price into this world
I just want to treasure everything

End of the world

One day I began to feel that dogs weren't locked up in chains
So please let me ask you this:
“What is the reason that you are free?”


      SEKAI NO OWARI『深い森』

 

深い森

深い森

  • provided courtesy of iTunes

 

第九章 candle

     This year, I spent a lot of time at home, especially due to the COVIT-19 pandemic. Going to cafes and other places is also effective, but not desirable because of the possibility of clusters. Furthermore, studying at home is a hurdle and I cannot study as much as I would like.So I decided to look back and summarize how I have done so far.

     First of all, I found it effective to utilize zoom with my friends. Although there is a disadvantage of not being able to concentrate on studying if a conversation starts, it is possible to study very efficiently by teaching each other what you don't understand and getting the feeling that you are studying together.

     Secondly, the method is to use a candle, prepare a small candle, and study until the light goes out. The candle I have has a burn time of about 8 hours. Personally, I find that after six hours, I start to lose concentration due to fatigue. However, I found it to be effective when I have assignments that I need to do.

     Lastly, I would like to mention the use of smartphones. The number one enemy of studying is looking at your smartphone. If you use the time lapse function of your camera to take pictures of your work, you can work without looking at your smartphone. Later, when you see the time-lapse video, you will feel a sense of accomplishment, which will lead to increased motivation.

 

  今年は特にCOVIT-19 のパンデミックの影響で家にいることが多かった。カフェなどに行くことも有効であるが、クラスターが起こる可能性があるので好ましくない。さらに、家で勉強することはハードルが高くて、思うように勉強できない。そこで、これまでを振り返ってどのようにしたら良いかをまとめることにした。

  まず第一に、友人とzoomを活用することが有効であると感じた。会話が始まってしまうと勉強に集中できないデメリットがあるが、わからないところを教えあったり、一緒に勉強しているという実感を得ることで、とても効率よく勉強することができる。

  次に、キャンドルを使った勉強法である。小さめのキャンドルを用意して、その灯火が消えるまで勉強するというものだ。私が持っているキャンドルは約8時間の燃焼時間がある。個人的には6時間を超えたあたりから疲労のせいで集中が薄れる。しかし、やらなければいけない課題があるときには有効であると感じた。

  最後に、スマートフォンを使ってしまうことについて。勉強している時の1番の大敵はスマートフォンを見てしまうことだ。その時は、カメラのタイムラプス機能を使って、自分の作業を撮影すると、スマートフォンを見ることがなく作業できる。のちに撮影したタイムラプスを見ると達成感が得られて、モチベーションの向上につながるだろう。

第八章 Illusion

今年は特に論文を読む機会が多くあり、知らない専門用語について理解しようとするためにインターネットで調べることが多かった。
しかし、そこには無限に情報が転がっていて、理解するには自分の能力を遥かに超えるものも少なくはない。

有名なサイトといえばやはりWikipediaではないだろうか。
Wikipediaの化学系のページでは、脚注や出典に論文や学術雑誌などのリンクページが貼ってあることが多く見られる。

知りたい単語について概要欄を読んだだけでは理解したことにはならず、出典先や脚注についても理解して初めてその単語を理解したと言えるようになる。
しかしそれはとても難しく、理解するために使われている単語や名称についても同様に理解しなければならなくなり、無限にそのようなことが続いてしまう。

インターネットで調べるというのはたくさんの情報の中から自分にとって最適な情報を選んで、さらにその中から正しいものを吟味しなければならない。
一方で、本(専門書)は知りたいものが簡潔にまとまっていて、わかりやすく記載してある。

理解するまでにかかる労力としては言うまでもない。
学術書にも載っていない場合はさらに大変であるが——。)

インターネットで調べ物をするということは、一見簡単で楽なように見えてしまいがちだが、無限に情報がある中から最適なものを見つけ出さなければならないという、究極に大変なことをしているのである。

このことを忘れてはならないと感じる。
出典先不明で根拠のないデマや誤った情報が転がっているからである。

非常に便利な時代になったと言えるが、それに伴って非常に不便な時代になったとも言えよう。

 

 

illusion

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第七章「君ならきっと」

 大丈夫じゃない人に「大丈夫ですか」と言うこと。

 こんなにも頑張っているのに「頑張れ」と言うこと。

 

 これらのことは、決して悪いことではない。

相手のことを想うことで出てくる優しい気持ちだ。

この相手を想う気持ちは伝わるだろう。

しかし、残酷な言葉でもある。

励ます言葉を選ぶことは難しい。

 

 『第五章 Barのロボット』で書いたように、薬剤師が患者に「大丈夫ですか」の代わりに何と聞いたら良いのか。

現役薬剤師で、現在はコミナティー筋注®︎の調剤業務に従事する大学の講師によれば、

「それが原因で出来ないことや、困っていることはありますか。」

などと聞くことだ。

このように聞くことで、患者と目標を共有することができ、QOLを改善することが出来る。

 

 定型文になってしまった「大丈夫ですか」や、冷たい意味を持つようになってしまった「頑張ってね」は、さらに気持ちのこもった言葉に生まれ変わり、これまで以上の温かい意味を持つようになるのではないだろうか。

 

 

サザンカ

サザンカ

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第六章「頑張れたらそうしたいよ」

 パニック障害について知っているだろうか。

パニック障害の症状には

パニック発作

・予期不安

・広場恐怖

がある。

そしてパニック障害は、繰り返される予測できないパニック発作が生じる不安障害で、少なくとも1回の発作と1カ月かそれ以上のまた発作が起きるのではないかという恐怖を感じる期間があり、それにより、多くの場合そのような発作が起きそうな状況を避けるような行動の変化が生じることを指す。

パニック発作は4つまたはそれ以上の以下の症状によって特徴づけられる。

・動悸
・発汗
・震え
・息切れ
・窒息感
・胸の痛み、不快感
・吐き気、腹部の不調
・目まい、ふらつく感
・非現実感、離人
・自己制御ができない、狂いそうな恐怖感
・死の恐怖感
・凍えたような感覚麻痺、かじかんだ感覚
・寒気またはホットフラッシュ

上記の様なパニック発作の後に、また発作が起きるのではないかという予期不安を感じるようになり、さらにパニック発作を繰り返し経験する中で、パニック発作が起こる状況や場面に遭遇することに恐怖を覚え、そのような状況や場面を避けたいと考えるようになる。

さらに不安がひどくなると、どこに行ってもパニック発作になるのでは?と考える(妄想する)ようになり、そもそも外出せず家にこもるようになり、学校に行く、職場に行く、その他の社会的交流ができないなど社会活動に支障を来たすようになる。

アメリカ精神医学会のDSM精神障害の分類と統計マニュアル)より

 

 人生のどこかの時点でメンタルヘルスになんらかの問題が生じたと診断される人は、全体の50%を超えると推定されており、また、5人に1人はメンタルヘルスの問題を毎年経験している。

とくに診断が出ることの多い不安障害は、全般性不安障害(GAD)、強迫性障害(OCD)、心的外傷後ストレス障害PTSD)、社会不安障害パニック障害だ。

ある研究によれば、女性が不安障害と診断される率は、男性の2倍にのぼるという。

つまり誰でも起こるということだ。

 

 SEKAI NO OWARI のボーカルであり、俳優や画家、作家としても活躍するFukaseもかつてパニック障害であったことを知る人は少なくないだろう。

 パニック障害の最大の症状は死への恐怖である。

彼はこう言っている。

「こんなにも頑張って生きてるのに、もっと頑張らないといけない。」

「頑張れって言われると頑張るっていうことが何なのか全く思い出せなくなるんだと思う。頑張れって言われれば言われる程、頑張るっていうのが何のことだか分からなくて、誰も自分の気持ちを分かってくれないんだと孤独になっていく。だから言っちゃいけないっていうのは、俺はそういう意味だと思うな」

「頑張れた方がいいに決まってるじゃないか。」

「頑張れないことが苦しい。」

 

 これが、SEKAI NO OWARI が頑張れと言わず、側にいるような応援ソングになっている理由となっているのではないか。(続く)

 

バードマン

バードマン

 

第五章 Barのロボット

 前期の講義で薬剤師は患者とのコミュニケーションの時に

『大丈夫ですか』

と言わない方が望ましいことを学んだ。

日常の中でも心配になるような状況になれば、「大丈夫ですか」と声をかけることはよくある。

そしてそれは「私はあなたを心配しています」というメッセージを伝えることになる。

しかし、「大丈夫ですか」の答えは決まって「大丈夫です」となる。

信頼している人の前では「ちょっと大丈夫じゃない」など言うこともあるが、大抵の場合は「大丈夫です」と答える。

そしてその「大丈夫です」には

『本当は大丈夫じゃないんだけど、これ以上心配をかけるわけにはいかない』

という気持ちが入っている。

 

 「大丈夫ですか」と言われると『大丈夫じゃない』のに「大丈夫です」と言ってしまうのは、どこか日本人が “How are you?” の答えは必ず “I’m fine.” となってしまうことと同じように感じる。

このようなことがあるので、患者に「大丈夫ですか」と聞くのは望ましくないというわけだ。

では、何と聞いたら良いのだろうか。

ぜひ一度考えてみて欲しい。(続く)