scent of memory

僕は先生でもないし、最初から「正しさ」もない

第四章「弱いまんま強くなれ」

『どうすれば将来の夢って見つけられるのですか』

 

もし、あなたが講師やカウンセラーであるとして、学生にこの質問をされたらあなたは何と答えますか。

 

 

 

 「第三章 ファフロツキーズの夢」で執筆した通り、小学校の卒業論文で私は将来の夢について書こうと決めていたので、上の質問を周囲の「大人」にしてみたり、自問自答をしていた。

(そのことが原因で、夜しか眠れなかったことは言うまでもない)

 

私が考えた回答としては以下の通りである。

 

“自分の好きなことをする” というのは難しいことも多いし、現実的でないことの方が多い。

しかし、「大人」に質問すると大抵の場合は、このように言われることが多いだろう。

 

実際に、“何がしたいか”で考えるのは難しいし、趣味を仕事にすることはハードルが高い。

本当にしたいことは仕事ではなく、趣味でやる方が向いている場合の方が多いのではないだろうか。

 

そこで、“自分の好きなこと” ではなく、“自分に何が出来るのか” を考えてみると、「夢」が見つかりやすくなる。

それは自分自身の経験や、憧れ、環境によって左右されていることが多いだろう。

 

・人のために役に立ちたい

・社会や経済を動かしたい

・暮らしを良くしたい

・人を笑顔にさせたい

 

このように一見すると漠然としているように見えるような考えは、今の自分自身がいる方角がわからなくなった時に、原点回帰することによって、忘れていた目的を思い出させてくれる。

 

 

 

 「ロケット開発の町工場」として名声を得る植松電気は元々、北海道の炭鉱で使うモーターの修理会社であった。炭鉱の閉鎖後は、車の部品修理業を営んだが、現代の変遷とともに仕事が減少。リサイクル業を手伝うことになった。それは大量のゴミの山から鉄くずを分別するという危険な作業だった。

 現場で働く人々は、“仕事だからしょうがない” と厳しい労働にも耐え続けていた。だが、同社の植松努氏は、これをチャンスと捉え、分別に使う強力マグネットを開発する。

「やったことがないことをやってみれば、今までになかった知識と経験を得られます」

同社の事業は、後に宇宙まで発展した。 (空想教室 / サンクチュアリ出版)

 

 『こんな状況だから仕方がない』と諦めるのか。

 『こんな状況だからこそ、出来ることがある』と挑むのか。

 

 厳しい現実の中でも新しい一歩を踏み出せば、希望の光が見えてくる。

 

 

 

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" NICE PEOPLE MAKE THE WORLD BORING "

SEKAI NO OWARI」のライブ「INSOMNIA TRAIN」のステージセット

SEKAI NO OWARI」 の楽曲「LOVE SONG」の歌詞にも引用されている

出典; sekainoowari.jp

 

第三章 ファフロツキーズの夢

 何のために勉強するのか、どうして勉強しなければならないのか、中学生にようやくなれた頃の私は、時々そう考えることがあった。しかし、私の場合はすでに将来の夢は定まっていたし、他の人と比べると学ぶことに目的を持っていた。それは、小学校の卒業文集に
「僕の将来の夢は、薬剤師か学校の先生になることです。」
と書いていたくらいだ。しかし、それは遠い遠い将来のこと。当時12歳の私は、10年・20年先のことなど、とても遠い未来であると感じていた。ぼんやりとした将来の夢はあるものの、中学で学んでいる内容は、薬に関することでもないし、大部分が薬剤師になるために必要なことでもない。結局は将来の夢がいずれ変わってしまうのだろう。中学生になった私はそう感じていたのである。

 

 

 

 中学校には小学校にはなかった定期テストというものがある。どちらかと言えばテストで点を取れた方が良いし、勉強できた方がいい。そう思っているうちに、高校生になった。

 3歳の時に花粉症を発症した私は、これまでアレルギーを抑える抗ヒスタミン薬を飲んでいた。花粉症の時期は夜になると、それまでに抑え込んでいた花粉がすべて出てくるかのようにアレルギー症状が出てくる。中学では野球部で、マスクをしながら部活動を行なっていたが、家に帰ると苦しくて毎日のように泣いていた。重症花粉症である。そのような生活を送っていくうちに「薬」というものが魔法のように思えた。そうして私の将来の夢は「薬剤師」に定まった。
 

 

 


 薬学部を受験するためには高校で、化学という教科を勉強する必要があることを知った。そこで初めて「何のために勉強するのか」、「どうして勉強しなければならないのか」その答えを見つけることができたのである。しかし、化学を勉強するうちに、暗記することが大の苦手である私が、化学は暗記科目であるという壁にぶつかった。何もぜずに暗記をすることは到底叶わない。ファフロツキーズのように、天から知識の雨が降り、楽をして暗記できないものか。どうすれば暗記から逃げることはできるのか。そう考えていた時である。

「逃げることにも勇気がいるんだよ」

これは、小説『ふたご』(文藝春秋) の一説である。月島(深瀬)が高校にやる気や目的を見出せず、中退を決意した時に夏子(彩織)に言った言葉である。

「高校に行ってもやる気がないし、つまらないんだよ」
「頑張れた方がいいに決まってるじゃないか」

この月島の言葉をはっきりと思い出した。確かに暗記をして『頑張った方』がいい。しかし、暗記に関しては『やる気がないし、つまらない』と思っていた。そして、僕は『逃げる』という決断をした。

 実は、この考え方をしたおかげで化学という教科がとても楽になった。それをここで示すことにする。

 

 

・化学といえば化学反応
・物理系化学といえばエネルギー
・生物系化学といえば、生物は楽をしたがる?

 

 

①物質の状態

 

 まず、H₂O は氷・水・水蒸気という三つの状態がある。この自然界で最も多く存在している状態はなんだろうか。容易に水とわかるだろう。これは、この自然界の常温で存在できる状態が、水であるということである。つまり、自然界で安定して存在できる物質が、化学反応に使うことのできる物質ということである。
 

 次に、水を水蒸気にするためにはどうしたらいいだろうか。熱を加えて沸騰させるということもわかるだろう。安定な水にエネルギー(熱)を加えて水蒸気にする。つまり、水蒸気は水よりもエネルギーが大きいのである。

 

 最後に、氷をどうしたら水にすることができるだろうか。温めれば容易に氷は溶けることは理解できるだろう。つまり、水は、氷よりエネルギーが大きいことがわかる。

 

 以上のことを「エネルギー図」を使ってまとめる。このエネルギー図というのは、上に行けば行くほどその物質が持っているエネルギーが高いことを表している。つまり、一番下にある物質が一番安定である。しかし、氷は自然界では水になってしまうため、水が化学反応に使われるということは理解できただろうか。

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H₂Oの状態を表すエネルギー図

・物質は特有のエネルギーを持っていること

・固体<液体<気体の順にエネルギーが大きくなること

 

以上の二点が理解できれば良いだろう。

 

 

 

②化学反応の進む方向

 

さて、いよいよ化学らしくなっていくが、以下の化学反応式について考える。

 

  HCl + NaOH → H₂O + NaCl

 

これは中学の理科でも見る化学反応式だが、とても重要であるので、以下のことを理解するようにしてほしい。

この反応は、塩酸に水酸化ナトリウム水溶液を加えると、水と塩化ナトリウムが生成する中和反応である。ただし、塩化ナトリウムは水溶液中なので、ナトリウムイオンと塩化物イオンに電離している。

  NaCl → Na + Cl

一見すると単純で、既に理解しているように見えるが、この質問に答えて欲しい。

 

問題:塩酸、水酸化ナトリウム、水、ナトリウムイオン、塩化物イオンのなかで、安定なものと不安定なものにそれぞれ区別しなさい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

答え:

 

  

 

   安定なもの :水、ナトリウムイオン、塩化物イオン

   不安定なもの:塩酸、水酸化ナトリウム

 

 

 

 

理由は単純である。

自然界に存在するかしないか。単純にこれだけで安定か不安定かが決まる。海水をイメージすれば一目瞭然だろう。この反応

  HCl + NaOH → H₂O + NaCl

は矢印が右向きにしか向いてないので、そこからもわかるだろう。つまり、生成物の方が安定である。故にエネルギーが小さいということを示している。海水が左向きの反応になることは考えられないように、右向きの反応しか進まず、一方通行な反応のことを、「不可逆反応」という。この反応のエネルギー図を以下に示す。

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HCl + NaOH → H₂O + NaCl

このエネルギー図を見ると、エネルギーが高い物質からエネルギーが低い物質に変化していることがわかる。さて、このエネルギーの差額はどこへ行ったのだろうか。答えは溶媒中に熱として放出されたのである。つまり、この反応では熱が外界へ逃げているので「発熱反応」であるということがわかるだろうか。同様に、この赤い矢印が上を向いていればこの反応は「吸熱反応」ということになる。

 

・エネルギー図の一番下の(低い)物質が最も安定な物質である

・化学反応はエネルギーの小さい方向(安定な物質)へ進む

 

以上の二点が理解できれば良いだろう。

全ての化学反応で同様のことが言える。これを考えれば化学の暗記魔から逃れられるだろう。

 

 

 

 最後に、高いところにあるものは重力に逆らっているので不安定と考えれば、滝のように低いところに流れ落ちる、つまり位置エネルギーが低い方に進んでいる。人間も、しなければならないことがあるときに楽に楽にしようとすることを考えてしまうだろう。これも同じようにエネルギーの低い方向に進むというのが自然のルールである。以下に活性化エネルギーと書いてあるが、自然に起こる反応でも、壁が立ちはだかっている。この壁(活性化エネルギー)を乗り越えて物質は変化するのである。

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HCl + NaOH → H₂O + NaCl の活性化エネルギー

 

 私たちも変わろうとするときは、最初の一歩を踏み出している。

 

「原動力」を糧に、どんな壁にも屈しない偉大な力を手に入れることができるだろう。

 

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FAFROTSKIES

sekainoowari.jp より

ファフロツキーズ

一定範囲に多数の物体が落下する現象のうち、雨・雪・黄砂・隕石のようなよく知られた原因によるものを除く「その場にあるはずのないもの」が空から降ってくる現象を指す。

 

第二章  地下帝国「地球」

 投打の「二刀流」で米大リーグに旋風を巻き起こしているエンゼルス大谷翔平選手。先日、本塁打数トップで先発登板は“ベーブルース以来100年ぶり”という快挙が報じられた。打者としての特長の一つが、逆方向のレフト側への長打力である。その技術の淵源は、少年時代の環境にあるという。

 

 河川敷の空き地を手作業で整備した練習場では、強打の大谷少年の打球は悉くライト側の塀を越え、ボールは川へ消えていった。練習球を確保するため、指導者は「全部左方向に打て」と指示した。すると大谷少年はどうすればレフト側に強い打球を打てるかを試行錯誤し、練習を繰り返した。するとその年から外角球を捉える本塁打が急増したという。大谷翔平「二刀流」の軌跡』(マガジンランド)

 

 状況に甘んじて、努力を放棄していたら、今の「打者・大谷」の誕生はなかっただろう。不利だと感じるような条件でも、創意工夫を重ね、自身を飛躍させる“バネ”としていく。人生を勝利へと導くのも、その人間としての強さである。

 

 コロナ禍に翻弄される中、望んだ通りの生活を送ることが難しいと感じる。私も希望を抱いて入学したが、オンライン授業となり、昨年登校出来たのは通算で僅か15回となった。オンラインという特殊な環境に置かれ、学ぶ意欲が高くなることは無かった。しかし、その様な後悔を感じているからだろうか、現在でも遠隔授業であるにもかかわらず、昨年とは比較出来ない程に意欲が高いと私自身が感じている位だ。

 

 昨今の感染症という混乱に振り回され、自分自身を取り巻く環境や社会が不利だと感じ、仮に自分の「弱さ」が露呈したと感じても、その「弱さ」を「強さ」に変える時、取り巻く世界は大きく変わるだろう。現状に満足せずに、変えていきたいとの意思があるならば、大きな一歩を踏み出したに違いない。

 

 

 

 

 

 

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地下帝国「地球」

 

出典:club EARTH

 

 

 

序章  国道254号線

 

 20回目のゴールデンウィークも、あと数時間で終わりを迎えようとしていたその日の夜、親友たちを乗せて僕は車を走らせていた。すると、助手席に座るれんさんが運転する僕に話しかける。

 

「しょうたのブログ読んでみたい!!」

 

「しょうたのブログ楽しみにしてるから!!」

 

「ブログの名前どうしよっか!!」

 

「“クスリ中毒のオトコ”とかどう?」

 

僕はブログを書くことが特別嫌だとは思わなかった。それどころか、れんさんのブログを読んでいると、とても楽しそうで、れんさんのブログを楽しみにしている自分がいた。

 

 自分で文章を書くことが好きだとは、到底言えるような自信があるわけではないし、僕の文章はちゃんと読めるものになるのだろうか、心配の方が大きい。

 

『ブログであれを書こう』

 

とか、あまり決まっているわけではないが、

 

 

 

やらずに後悔するより
やって後悔する方がいい

 

 

 

と思って、ブログを始めてみようと思う。

 

 

 

せっかくやるんだから楽しまないとね!!